優しくて可愛くてかっこよくて大好きな夫と死別しました

事故か自死か。夫が消えた人生をこれから歩みます。なんて自分が書いてることが信じられない35歳です

夢を信じるかどうか

夢の中で交わした夫との会話について、考えてる。

半月ほど前、2人で住んでいたアパートで、義両親と一緒に夫の遺品を整理した。翌朝、義両親がアパートを出発するとき、義両親に続いて列になって歩く私の目の前に、夫の姿がポワッと浮かんだ。夫は私に振り返って、「みんみん、じゃあね」と言って、かっこよく微笑んだ。そんな姿を見ることを私は予期していなくて、とても驚いた。他の誰も見えていないけど、私には等身大の夫が、大きなオレンジのリュックと、出会った頃から着ていた紺色のサッカーのジャージを着て、大好きなあの表情をこちらに向けて、そう伝えている気がした。夫は、そのまま義両親に続いてアパートをあとにして、以来あの部屋で夫の存在を感じることはなくなった。それからというもの、私は夫に何か気持ちというものがあるとすれば、きっと昔の夫らしく、亡くなってしまった中でも、淡々と、飄々と過ごしているのかなと思っていた。

今朝の夢では、夫はまだ自分が亡くなったことなんて、全然わかっていないように見えた。夢の中での夫とのやり取りや、自分の発言を思い返して、亡くなる前の夫と私の関係性を改めて思い出した。亡くなる前の数ヶ月、夫は体調がすぐれない中でも、時に雲の切れ間のように私に精一杯の優しさを見せてくれた。夫はとても不安なのに、強がってよく私を突き放した。でも、その強がりを乗り越えて私が夫に寄り添えた時には、緊張の気持ちがほどけたような、安心した表情を浮かべてくれた。今朝の夢も、そんな夫の苦しい心境を思い出した。私は、本当は全部わかっていたはずなのに、なぜ夫が口にする言葉ばかり追ってしまったのだろう。大好きな夫の気持ちが、言葉なんかにされなくても、いくらでもわかったはずなのに。

夢は何なのか、いろいろな解釈があると思う。今、私は愛する夫が亡くなってしまって、とても苦しいのだけど、その解釈は、なるべく自分の直感的な理解が及ぶ範囲でまずは取り組んでみたいと思っている。だから、こうして普段の自分の言葉と理解を通じて、今の自分の気持ちや考えを整理しようとしている。でも、夢はそこから少し飛躍する。夢はどこか予言的で、この世で見えないものや、わからないことを教えてくれる感じがする。ただ自分の頭で考えたストーリーだという科学的な説明ができるのだろうけど、何か感じ取りたいと思わせるものがある。

今朝の夢は、私自身が夫にできれば良かったと今になって思うことが、少ない場面と言葉にたくさん散りばめられていた。私は、夫と「一緒」であることが一番大切だったのかもしれない。それは、夫が最後に私と離れて1人で亡くなってしまったことで打ち砕かれた望みでもある。そんな私の思いが、今日の夢には色濃く反映されていると感じた。

一方で、夢の中での夫の反応は、私が思っていたことと違った。夫がもし、今自分が亡くなったことをわかっていないとしたら、それはどうすれば良いのだろう。それを2人でどう話し合って、どう解釈していけばいいのだろう。夫と約束した、2人で未来にいく、という行為は、何を意味するんだろう。また新しい問いが自分の中で生まれて、今日も1日、泣いたり、悲しんだり、一時忘れたりしながら、そのことについて考えている。答えはすぐ出そうにないけどね。