このブログを長く読んでくださった方なら、夫が亡くなって1ヶ月ちょっと経った頃、私が自分の会社のトップ宛にメールを送ったことをなんとなく覚えていてくれているだろうか。夫の死にも繋がった病を発症したとき、私は職場でパワハラ被害に遭っていた。当時の上司から不可能なノルマを与えられ、過労死ラインを超える残業を連日強いられ、そのまま不眠の2泊5日の海外出張に追い込まれ、また前任の不正・粉飾の報告と更なる上塗りのために心身を削って3週間ぶっ続けで働いた。私は当時、連日午前帰りで、意識朦朧と過ごしていた。心身がおかしくなる感覚があった。自分の隣で夫の体調がそんな坂道を転げ落ちていることに、愚かな私は気づけなかった。お互いが極限に達したところで出張に旅立つ数十分前に口喧嘩をして、私が出張から戻った3日後、夫が発症した。
私のチームでは、この上司の采配下にあったわずか2年のうちに何人もの20代・30代の優秀な後輩たちが精神的に追い込まれ、病気の発症から休職や退職を余儀なくされた。激務から次第に口数が少なくなり、出社ができなくなるギリギリのところで救われた者もいた。当時も人事部に情報は入れていたが、「大変ですね」という人ごとのような返信しかなかった。「そういうものなのだろうか、でもこれは絶対におかしい」。私はそう思いながら、後輩が倒れ、夫も恐ろしく体調を崩す中で、人事部につっかかっていく余裕はなかった。ただ周りの人を生かすだけで精一杯だった。
夫が亡くなって、この一連のことをトップに訴えた。トップは、その晩にメールの返信をくれた。私はこの人は信頼に足る人だと感じた。トップは人事部に経緯について検証指示を出した。これが2021年1月。そこから2022年末までの約2年、人事部は私のことをどこまでも騙し、丸め込むような対応を取り続けた。時には人事部長を筆頭に、3人ものシニア管理職の男性に囲まれ、「何も問題はなかった」と諭されることもあった。その度に私は猛反論して、継続協議を求めた。この不毛なやりとりが続く中、当時の人事部長は会社の役員に昇進した。全てを握りつぶしてでも昇進したかったのか、本当に残念な人だなと思った。人事部長は私に検証結果を説明する際、「本件に関係ある方々には、人事部として相当丁寧なヒアリングを行なった。その結果、他の誰からもパワハラの声はなかった。なので問題はなかったと判断した」と話した。後になってわかったことだが、思い切って後輩に裏取りしたところ、当時人事部は私が名前を挙げた誰にもコンタクトしていなかったことが判明した。どんだけポンコツ野郎なんだ。ポンコツなだけじゃなくて、あまりにずるく、姑息だ。
2022年、過去1年に亘ってやりとりした経験を踏まえ、このままこの人事のポンコツたちとやりとりしていても永遠の平行線しか辿らないことは薄々感じ取っていた。そこで私は労働基準監督署に行ってみることにした。(死別の大怪我を心に追っているので、こういう一つ一つの動きや判断はとても時間がかかる。ましてや誰にも相談せず、完全なる孤軍奮闘なので、テンポがかたつむり並に遅いことは目をつむって欲しい。)
労基署では窓口で経緯を伝え、相談員の方からたくさんの助言をもらった。組織の中で私が取れる方策や、裁判をした場合どうなるか、調停だとどうなるかなど、私が知らないことを色々と教えてくれた。そして話していく中で、私が訴えていることが決して感情論ではなく、正当な内容であることを再確認することができた。
労基署にいただいた助言を携えて、私は人事部に最終通告をしつつ、会社の監査に対し内部通報を行なった。それが2023年2月のこと。それから4ヶ月たった今日、監査から結果説明をしたいとの連絡があった。
「今度こそ組織内で取れる最後の手段の結果が出る。これでまとまらなければ、私は裁判に進まなければならない。今日は絶対に決めたい。ナメられない服装にしなければ!!」と思って服を選んだら、全身黒の喪服コーデになった。
面談に座ると、先方は男性2名。私の前に結果の紙がぺらっと置かれた。ない速読力を使って速読を試みた結果、どうやらどうやら、んん??、お、相手に非があると書いてる!!上司も人事部もおかしいって書いてる!!ふあああああああああああああ、と安堵した。「ここには公正に検証してくれる人がいた・・・」と力が抜けた。
監査からは、紙に沿って、どんな理由や解釈によって私の訴えが認められたかの説明を受けた。当時の上司に問題があったこと、粉飾した前任や前任の管理者にも問題の責任があること、その後の検証にかかる人事部の対応が不適切であることなどが認められた。私にしてみれば、どれも疑いようのないほどに確たる事実だったけど、それを第三者に認められたことで、これまでの取り組みがようやく形になったと感じた。監査の検証の過程では、外部弁護士にも関わってもらったそうで、全て私が揃えて出した経緯書に基づく検証だったが、追加のヒアリングもクラリフィケーションもなくこのような結論がでたことは私の思考の的確性を後押しされたようで嬉しかった。今後はトップから人事部に対して指導ののち、人事部から元上司への指導、再発防止策など改めて検討されるそうだ。
面談の最後に質問や要望を伝える時間があったので(監査としては要望を受けるつもりはなかっただろうが)、私はペラペラと喋り出した。そして、要望を伝える中で、「当時の人事部長、すなわち、あの役員からは土下座が欲しい」と伝えてみた。
次のブログエントリーは、ぜひ「ポンコツ役員から土下座を受けたこと」というタイトルで書きたいと思っている。監査からは他の質問などもあわせて「持ち帰り検討します」と言われているので、是非組織のお偉いさんたちの間で、土下座の妥当性について、喧喧諤諤の議論をしていただきたいと思う。