優しくて可愛くてかっこよくて大好きな夫と死別しました

事故か自死か。夫が消えた人生をこれから歩みます。なんて自分が書いてることが信じられない35歳です

夫の最後の場所

今日は夫の遺品整理のためにアパートに一時帰宅。まもなく義父母が到着するので、3人でしんみりした夜を過ごすのだと思う。あの時誰がこうしていれば、なんて話し始めたら、したくない批判をお互いしてしまうかもしれないから気をつけよう。私も、恐らくご両親も、本当は衝突なんて嫌いだし、ましてや夫はそんなの一番嫌がるだろうから、ただ温かい時間にできるといいな。

アパートに向かう途中の駅で乗り換えがあったのだけど、そこは夫が最期を迎えた駅だったので、誘われるように夫が息絶えた場所に行ってきた。あの場所で、あの日、あんなことが起こったのか。その場の空気を感じるだけで、何に対してかわからない涙がどんどん溢れた。いつまでもその場にいたかったけど、義父母との待ち合わせがあるので離れた。駅に向かって歩きながら、夫が立ち寄っていた喫茶店がいくつも目に入り、最後に会ったときに私が夫にひどい言葉をぶつけた場所も見えた。悲しみと後悔で気持ちがつぶれそう。でも今の私は、夫がいなくて一人で問答することに虚しさを感じて、せめて自分でコントロールできない自然発生的な心の痛みを感じることで、誰かとやりとりをしている感覚を感じたいのかもしれない。

この辺りは、昔から2人でデートを重ねた場所でもあった。夫は大都会の摩天楼が好きで、遠くにそびえるビル街を、不安なような、悲しいような、抱きしめたくなる危うげな表情で眺めていた。夫が見つめていたビル街には、何があったのだろう。夫は、何を考えていたのかな。