優しくて可愛くてかっこよくて大好きな夫と死別しました

事故か自死か。夫が消えた人生をこれから歩みます。なんて自分が書いてることが信じられない35歳です

なにかなにか

何かをして気持ちが癒えることはないんだろうな。

アパートからの帰り道、夫が亡くなった場所に寄るか迷って、最初寄らないつもりだったけど、やっぱり遠回りして、駅で降りて、行ってきた。見上げた建物。どの窓かカウントして、ああ、あの部屋だ、とわかった。夫に自分の気持ちが近づかないだろうかと、寒かったけどしばし突っ立って眺めてた。20分くらいその場にいただろうか。でも、無力感からくる悲しみがこみ上げただけで、救いはなかった。

そりゃそうだよね。気持ちをえぐりに行ってもしょうがないんだけど。なにか奇跡とか、なにかサインとか、なにかなにかを求めてしまう。

都心はやっぱりイルミネーションがついてた。いいんだ、今年は10月からイルミネーションをやってるエリアがあって、最後に夫とデートしたときに、一緒に見たんだから。今も生きていたら、きっとイルミネーションを一緒に見たんだろうな。いや、絶対見た。夫は周りから見たら病のど真ん中にいただろうけど、私には夫が目の前にいるってちゃんとわかってたよ。最後のデート、普通に喫茶店に行くつもりだったのに、ビル街に夕日がさしてるのがわかって、「みんみん、夕日見たい?」って聞いてくれた。「見たい、見たい!」それって、ちょっとしたデートじゃない?あてもなく、夕日を一緒に見るなんて、ずっとなかった穏やかな恋人の時間。夫が夕日ルートを案内してくれた。帰り道に、おどろおどろしいイルミネーションをつけた通りがあって、夫はいかにもデートになるから避けるかと思ったけど、ちゃんとその通りを選んで歩いてくれた。嬉しかったなあ。

なんでこういう出来事全てに、もっともっと希望と感謝を持てなかったのかな。今後悔しても、こうして夫の気持ちを噛み締めても、もうなにもない。