優しくて可愛くてかっこよくて大好きな夫と死別しました

事故か自死か。夫が消えた人生をこれから歩みます。なんて自分が書いてることが信じられない35歳です

「人生の意味」

単身赴任を始めるまでずっと住んでいた実家の勉強机の前にぼーっと座っていた。

勉強机に座ると、正面にはお決まりの夫の遺影、そしてその奥の棚には中学、高校、大学と増えていったノートやプリントや日記帳、そして各地のデート先の入場券などが立ててある。

夫が亡くなる前から、帰省のたびにこの棚を漁っては、夫からもらったカードや手紙やメモなどを探していた。だから、もう新たな発見はないと思っていた。

今日、何気なく棚を眺めていて、ふと二つ折りのプリントが目に入った。真正面に置いてあるプリントなので、これまでもみたことがあるだろうと思って開くと、それは小説のコピーだった。

その小説は2アップの4ページ組みだった。よく見ると、タイトルのある1ページ目は最後尾に回され、表面は2ページ目になっていたようだ。直感としては、私は2ページ目までしか読んでいないと思う。タイトルは「人生の意味」。チャールズ・シミック作とある。夫が尊敬してやまない、柴田元幸さんの翻訳で、Monkey Businessという雑誌に掲載されたものだ。かすかな記憶を辿れば、きっとこれは2011年頃の私の誕生日に、夫からお祝いのカードやプレゼントと一緒に、もらったものではなかろうか。夫は、この頃まだ学生だったので、大学のコピー機ででもこれを印刷したのだと思う。

タイトルを見るに、あまりに今の私にぴったりだ。「人生の意味」。まさに今の私にもってこいだ。改めて、全文を読んでみた。意味が、わからない。言葉がするする私の脳をすり抜けて、理解ができない。自分の感性がこの域には達しないと達観してしまって、よくわからないまま、全4ページ(正確には2アップなので8ページ)を読み終えた。

きっと、誕生日にもらった時も、私は同じような理解力だったのだろう。2ページ目で諦めて、夫に「夫くーん、あれ、よくわかんなかった!」とあっけらかんと言ったと思う。今、35歳になっても、私の頭には、よくわからない。でも、違いがあるとすれば、あの文章が何を意味するのか、夫くんのハートを何が打って止まなかったのか、あれを私に渡すことで何を伝えたかったのか、教えてほしい。こんなによくわからない境地のまま、放っておかないで欲しい。私には、この文章が言わんとするところや、途中の一節にしても、最後の一節にしても、作者がなんのためにどういう意図をもって書いたのか、一切ピンとこない。ピンときたいのに、ピンとくることができない。

もっと言うと、夫くんが人としてこれまでどんな世界観を秘めていたのか、人生をどうみていたのか、教えてほしい。私が一心同体と思っていたものが、夫くんからみてどうだったのか、教えてほしい。今となっては、夫のことを根こそぎ知りたい。夫の全てをデータベースのように分かり尽くしたい。

夫くん、あなたは何を考え、どういう人物だったんだい?

失望させてしまうようだけど、私にはこの文章は、まだまだ、まだまだ、ぜーんぜん、わかりません。