四十九日の傾聴
今日は夫の四十九日。
夫が極楽浄土にいけるか決まるんだって。今頃どきどき不安になってないかな。夫が不安かもと思うと、絶対大丈夫だよ!って声かけたくなるけど、これまでの反省を活かすなら、どんな不安なのか聞いてみようかな。
夫くん、いまどんな気分かな?ふんふん、そんな気分なのかあ。不安な気分?なんでそういう気持ちになったのかな?そうかそうか、これまで生きてきて、何も良いことできてないって思うの?そうかあ、夫くんはそう思うのかあ。何もできてないって、強い断定だねえ。今、色んな思い出が浮かんでるんだねえ。それで不安がでてくるんだねえ。そんなにたくさん、一気に思い出がでてくると、苦しいよねえ。夫くんはその思い出の中で、良いことができてないって思うんだねえ。
その時周りの人はどんな反応だったのかな?夫くんと同じように感じてそうだったのかな?そうなんだ、そりゃ周りの人の心の中はわからないからねえ。どういう風に感じていたのかねえ。喜んでくれたとか、怒ってるとか、覚えてる反応はあるのかな?うん、うん、そうなんだ。他にもある?うん、あはは、なんかいい思い出だな。今の話をきくと、相手は喜んでくれたように聞こえるねえ。
でも相手の気持ちより、自分のその時の考え方について考えてるんだね。夫くんは自分にやましい気持ちがあったと思うんだねえ。やましい気持ちって、どんな気持ちなのかな?へえ、やましいって、そういうことかあ。それは他の人も持つ考え方なのかな?それとも夫くんだけが持つのかな?確かにわからないね、他の人の気持ちはわからないもんね。やましい気持ちを自分が持ってたと思うのは、苦しいよねえ。
夫くんはその時から自分で意識してたの?それとも今気づいたの?そうか、よくよく考えると全部そうだって思うんだねえ。それは今とても辛いね。全部が全部そうだったのかなあ?うん、じゃあ多少強いのと弱いのとあるのかなあ。そうかあ、じゃあ程度も色々かもしれないんだね。じゃあやましさが弱くて、相手も喜んでくれた思い出はあるのかな?ああ、そうかあ、それは、聞いてて幸せな気持ちになる話だねえ。気持ちが通じ合う感じがあるねえ。よくよく考えると、そういう思い出もあるのかあ。他はどうかね?うんうん、そうかあ。
じゃあ逆にとてもやましかったのはどんなときだろう?うん、それは、私も言われると自分にあてはまるなー、うん、それで、相手に押し付けた気がしたのかあ。相手を利用したかもしれないって思うんだね。どうなんだろうねえ。相手の人に聞いてみたいね。
夫くんはすごく良く考えてるねえ。ただ相手が喜んだとか、悲しんだじゃなくて、その時の自分がどんな考えで行動したかを、よく振り返って考えてるんだねえ。なかなかそんなに自分について考えられる人はいないのに、夫くんは誠実な人だねえ。自分が何ができたかより、何が出来なかったかを、考えてるんだねえ。なかなか、立派だなあ。