優しくて可愛くてかっこよくて大好きな夫と死別しました

事故か自死か。夫が消えた人生をこれから歩みます。なんて自分が書いてることが信じられない35歳です

「ぼのぼの」

私がアパートから引き上げてきた荷物の中に、縛られた本の束があった。

うちの高齢のおばあちゃんは、色々家の中のものとか、チェックするのが好きなんだけど、例の如くわたしの荷物も色々チェックしてて、昨日の朝、「この漫画読みたい」と言われた。

指差してる先には、「ぼのぼの」。

私はほとんど漫画を読まないけど、ぼのぼのは好き。こないだコジコジのこと描いたけど、要はそういう感じが好きなのかも知れない。

90歳を超えるおばあちゃんに、果たしてぼのぼのはどう受け入れられるんだろう?単純に興味があったから、すぐ荷物を解いて、2冊渡した。

お昼になって食卓につくと、おばあちゃんがぼのぼのを持参して、テーブルに置いている。これはよほどハマったのか?それとも・・・・。

私が席についたことに気づくなり、ぼのぼのを持って体を傾けてきた。

「この漫画、どういう意味ぃ?何が面白いのぉ?ちっともわからない」

そうか、やっぱりそうなのか。解説しようと思って、開いてみたけど、確かに、とっても説明が難しい。例えば、シマリスくんがてんとう虫と16コマかけて向き合う様子とか、一体なにが面白いと言えばいいのだろう?

結局、おばあちゃんに説明はしてあげられなかった。

もうちょっと読んだらわかるかも、と言ったら、真面目なおばあちゃんは「ふーん」と言って、またぼのぼのを自分の部屋に持ち帰っていった。

〜(きっと)つづく〜