優しくて可愛くてかっこよくて大好きな夫と死別しました

事故か自死か。夫が消えた人生をこれから歩みます。なんて自分が書いてることが信じられない35歳です

ヘリグロテントウノミハムシ

今日は、夫の2回目の命日だ。

今日、夫が亡くなった時間帯、私は会社の上司に宛てて、これまでの経緯を一生懸命書き連ねていた。これまでの職場環境に関する私の個人的な恨みはもちろんあるのだけど、組織にそれに反応してほしいと思っているわけではない、多分。むしろ、もっと建設的な出口を模索していて、私の事例を1つのケースとして、問題点を一緒に考えてほしいと思っている。ワーカホリックという課題を抱える上司の元で働くことで、過労死ラインを超えて残業をさせられる実態とか、部下が次々と心療内科に通うところに、メスは入るべきだと思う。もうこんな悲しみを連鎖させないために。

だから、夫には申し訳ないのだけど、亡くなって2ヶ月目の私は、当日を振り返りながら、あの日、あの時間、あと何分で、という「亡くなっちゃうカウントダウン」はしなかった。メールを書くことに夢中で、すっかり頭から抜けていた。また来月にはカウントダウンしているかもしれないけどね。それよりも、来月は命日がバレンタイン、その次はホワイトデーにあたるから、その思い出を振り返って、愛情が苦しくて、泣いてるかもしれない。

話は変わって、昨日から、私の部屋に虫が1匹いる。夫が亡くなった直後にも、私が朝布団にいたら、周りをコバエが飛んだことがあった。その前日くらいに親から、「亡くなった人は虫に姿を変えて、出てくるんだよ」と言われていたのに、私はいつもの調子で咄嗟にそのコバエを仕留めてしまった。それで、「夫くん、ごめん・・・」とあとで気づいた。

今回部屋に出没したのは、てんとう虫のような虫だった。昨日の夕方、私の部屋の窓の内側をうろうろ歩いていた。

それで「夫くんなのー?」と聞いたら、その虫が大きく飛んだ。

おお、けっこうすごいなと思って、「夫くんなんだ!夫くんなら、もう一回飛んで見せて」と言った。

虫は、もう飛ばなくて、そそくさと移動していった。

その後、外に逃そうと思ってしばらく窓を開けていたけど、出ていかなかったから、放っておいた。それで、あとから振り返って思った。

最初に現れた時、夫はコバエになったので私に仕留められてしまった。

みんみんが好きなてんとう虫なら大丈夫だろうと思って、満を持して出て行って、最初の呼びかけにも渾身の力で飛び上がって見せたのに、みんみんはそれでも事実確認みたいにもう一回飛べとか、まったく、いつものみんみんだ、と思っただろうなと。

挙句にみんみんはいつも虫は仕留めるか、外に逃すかの2択だから、せっかく僕が現れたのに、外に出そうとしてくる。

そんな感じで、夫は辟易としたかもしれない。

今日、また窓に同じ虫がいた。また「夫くんなのー?」と呼びかけた。ジタバタ飛んで、びっくりした。黒地に赤い点なので、調べてみたら、てんとう虫じゃなくて、似た見た目の草食の虫で、野菜を食べるので害虫扱いされるらしい。

家の中にいても、食べるものがないだろうから、また窓を開けて待ったけど、出ていかなかった。だから、今も虫は私の部屋の窓をうろうろしている。

今日はこの後も上司とのやりとりが続くので、まだ一度も泣いていない。

強くあろうとする日は、私も強くあれるんだなと思った。

今日は、私と虫で、2人体制だもんな。

あとちょっとだけ今日は踏ん張ろう。

また踏ん張った後は、ぐでたまになっちゃえばいいんだから。