優しくて可愛くてかっこよくて大好きな夫と死別しました

事故か自死か。夫が消えた人生をこれから歩みます。なんて自分が書いてることが信じられない35歳です

お手柔らかな夢

ずっと夫の夢を見ていなかったので、ここ数日は意識的に「夫の夢が見たいなあ」と思ってから寝付くようにしていた。

一昨日くらいも、起きた後でなんとなく夫の夢を見た気がしたけど、内容を思い出せなかった。昨晩も、夫が夢にでた。今朝起きて、そう思って、内容を思い出せるまで、布団にくるまっていた。どうせ低血圧だから毎朝1時間くらいくるまってるんだけど。それで、少しずつ、少しずつ、思い出すことができた。

夫は夢の中でも亡くなったことになっていた。それか、失踪したくらいだったのかもしれない。私は誰かと一緒に夫を探していて、何かの乗り物で夫が最後にいなくなった場所に向かっていた。道すがら、古びた一軒家の横を通り、その一軒家の前にあった室外機に、夫のジャージがかけられていたのを見つけた。

「あんなにボロボロになって。あそこに夫は住んでいるのか」と思って、その家に近づいた。表に向いた窓があったので、そこから声をかけて、中の人と話した。窓を開けたのは、確か夫とは見た目が少し違う人なのだけど、夢の中ではそれでもその人は夫ということになっていた。夢の中の私は、夫が生きていてくれたことに安堵しながら、それでも大変な状況にいるのでどうにかしなくちゃとか、色々考えていた気がする。

夢が私の潜在意識だとしたら、私はまだ夫にどこかで生きていてほしいと強く思っているんだと思う。そりゃそうだ。ものすごくものすごく強く思っている。夫が亡くなったなんて、信じられない、信じたくない、信じたら、発狂する。そうやって、夫が亡くなってから、ずっと騙し騙し、今日まで生きてるんだと思う。だから、夢の中では現実的じゃないとわかりながら、夫を生きていることにしていた。わざわざ夫と見た目が違う、ちょっと別の人のように最後は登場させて、私が喜んでいいのか、懐かしんでいいのか、ファジーなまま起きるような構成だった。あまり期待をさせてしまうと、私自身が、不憫だから。

内容はともかく、こうして夫の夢を見ると、起きてからもその日1日、夫のことをよく考えるようになる。夢を見ると、ときにその内容から夫のメッセージを感じ取りたくなる。もしかしたら、夫が何か言おうとしているのかな、なんて思ったりもする。今回も、まだ生きている設定だなんて、夫が生きているか死んでいるか、まだいっぱい混乱しているのかななんて心配になったけど、見た目が本物じゃなかったから、そこは心配しないでおこうかな。偽物の夫で、私の創作。起きたあとの恍惚感とか、今日はなかったもんな。

まもなく夫が亡くなってから、3ヶ月が経とうとしている。夫が亡くなってからしばらくの間、誰か強盗でも犯罪者でも我が家を襲って殺してくれるなら、そうしてほしいと思っていた。天変地異で全部終わることを待ち望みすぎて、地震を感じて自分の表情が明るくなったこともある。最近は、強盗が押し入ったら退治しちゃうかもしれないし、地震を感じたら、避難してしまうかもしれない。でも、それは生きる意欲が出てきたからでもない。最近の少し落ち着いた気持ちは、「夫はいつものように一人暮らししながら、どこかに生きている」と思っているからだと思う。そう思いたくないんだけど、そう思っている自分に気づく。だからこそ、自分も死ぬ必要がなくなった。

こんなこと全部幻だから、変な途中休憩なのかもしれない。自分の考え方は変だなと思いながら生きているのも、また虚無な感じで、大変だ。