優しくて可愛くてかっこよくて大好きな夫と死別しました

事故か自死か。夫が消えた人生をこれから歩みます。なんて自分が書いてることが信じられない35歳です

ぽーっとしている

2週間ほど前に精神的などん底に落ちてから、ここ2週間ほど、あまり泣いていない。

1日数回、わっと泣くことはあるけど、1時間置きに泣いていたときとは違う。

亡くなった直後に比べて、目の前で起こってること、例えば仕事とか、テレビ番組なんかに、集中する力がある。

夫が亡くなる前だってそうだったけど、私は仕事では馬車馬みたいに働く。それで、最近は残業もまあまあ増えてきて、起きてから、夜寝るちょっと前まで、在宅で仕事してる。仕事してる自分は、好きじゃない。こんな数字とか、「てにをは」とか、言い回しとかを、ちまちま直すような世界で、深夜まで無意味に働いているうちに、夫が亡くなってしまったから。仕事なんて、しなきゃよかった。夫が元気になるまで、ずっと休職すればよかった。

当事者の家族は、いつも通りにしているのが大事と言われるのを、なんだか鵜呑みにしていた。いつも通りの私は、深夜まで働いているのだから。たった1人の家族が深夜まで働くことが、当事者にとって良いわけない。だからといって、夜の7時とか、8時に帰宅できる仕事なんて、そんなにない。その時間帯に帰宅するためには、定時に上がらないと無理。私の会社では、定時にあがると、定時にあがったことに気づいた上司から、ご丁寧に夜中に督促メールが入ったりしている。お互い、ずっとバカみたいに追い込み合う。このいたちごっこみたいなループの中を、私はモルモットみたいに走り回ってて、そのループの外で夫は一人で泣いていたのかな。一人で苦悩する時間に、力になれなかった。仕事なんかより、夫の方が、言葉で表せないほどに、大事なのにね。

働きながら、時短もせずに、誰かの療養を支えることって、基本的に無理なんじゃないかな。もっと楽な部署に異動を願い出ればよかったけど、そんな発想、私にはなかったな。長期の休暇をとるという、自分のレールを一旦止めることはしたけど、レールを降りて、収入も減らすような決心はできなかった。今あの時に戻れれば、するけどね。まさか2年後に夫が死ぬことになるとは、思っていなかった。

夫は夢にもでてきてくれない。時々見る夢では、夫はもう亡くなった後の話になってる。今の私の中で、夫は何なんだろう。夫が亡くなってから、ずっと経緯の振り返りをしていて、夫がいないということには深入りしないようにしていた。そのための心の準備が、自分にないとわかっていたから。2週間前に苦しかったのは、そのことに向き合い始めたから。それでドクターストップじゃないけど、苦しすぎて一旦中断したのが今かな。

時々、気持ちが前よりも元気なときもあって、そういうときは自分で自分に気づく。自分は今、何を考えているんだろう?って内面を覗き込む。すると、この瞬間だけ、夫がまだ生きていることになっている。私は、ただ昔の自分のように元気になっているだけ。でも、悲しいかな、今の私が置かれている状況の解決策は、それではないんだよね。昔の自分に戻ることでは、ない。「ああ、これも何か違うな」と思って、またしゅるしゅると元気がなくなる。

だから、原則、ぽーっとしている。なんか可愛い響きだから、それでよしとしよう。

まだまだ、しばらく、ぽーっとしていようと思う。