優しくて可愛くてかっこよくて大好きな夫と死別しました

事故か自死か。夫が消えた人生をこれから歩みます。なんて自分が書いてることが信じられない35歳です

デビル夫くん

ここ最近、少し気持ちが落ち着いてきていたんだけど、今週はおじさんが亡くなった話から、再び「人が死ぬ」ということについて考えたりして、気持ちが落ちつつある。そして、おじさんが亡くなったということから、引いては夫が亡くなったということも、再度突きつけられることが何度かあった。さらに今日は月命日なので、夫が亡くなる前後の時期のことや、当日の映像を何度も何度も頭の中で繰り返していて、とても苦しい。

結局私は、おじさんが亡くなったことは受け入れるようだ。死んだか、死んでないのか、なんてことで悩むこともないようだ。あれだけ好きな人でも、「もう会えないんだなあ」なんて割り切って思えるのか。今の私は、大切な誰かが亡くなったり、困ったりしていても、夫のことを考える時間をそちらに割こうと思わないみたい。何よりも自分の中で、夫のことがぶっちぎりの第1位に君臨している。夫のことを私から無理に引き剥がすと、気持ちが脆くなるので、こうして死んだ夫と、生きている妻の2者の世界に当面いた方が良いのだと思っている。それ以外に、世界の中で何が起こっているのかは目もくれずに。

こんな自分の気持ちに気づいたのは、おじさんと夫が一緒に映った写真を見たから。私は、どの写真でも、気づけばおじさんではなく、夫の顔を見ていた。夫の顔を拡大して、見ていた。要は、おじさんではなく、おじさんといた時の夫を見たかったみたいだ。なんということだろう。おじさんなら、きっとわかりやすく悔しがりながら、笑ってくれると思うけど。

大切な人、大好きな人の死なのに、なぜ私の反応はここまで違うのだろう。おじさんは、私にとって、とても大切な人だった。「好きな大人」と言われて真っ先に思い浮かぶ人だった。でも、おじさんは、私の存在の一部は、成してはいないんだと思う。私は、夫に依存していないとずっと思っていたけど、依存という言葉はさておき、夫が私の存在の一部になっていたと思う。ずっと、2人だけで生活していたんだ。2人で日々の生活を営んで、これからの人生を考えて、一歩一歩進むことを考えていた。夫と私という2つの円が重なり合ったところに、2人だけの人生を思い描いていた。

夫がいなくなって、自分が空っぽだったり、何者かわからなかったり、存在を危うく感じることばかり。夫が死んだことを認めたくないのは、それが悲しいからだけじゃない。その先が怖すぎるからだと思う。この自分が何者かわからないような、実存への脅威は、私自身の問題なのだと思う。

でも、この状態での社会生活は難航する。例えばおじさんが亡くなったのに、心をそちらに向けないことで、他の悲しむ人々とどうやりとりをして良いのかわからない。私がいるコミュニティで皆一様に反応するおじさんの死という出来事について、反応をしないことには、気がひけた。月曜は、おじさんが亡くなったことを私に伝えてくれるたくさんの「訃報」メールがあったけど、どれも返信せずにそのままにしていた。すると昨日、さらに1通メールがきた。「葬儀に行こうと思うが」というお誘いのような先輩からのメール。前から、私の状況を心配して、様子を探ってくれている、とても優しい先輩。そして探った結果は別の先輩に話してしまう人でもある。

このメールを受けても尚、私は反応したくなくて、返信しなかった。

でも、ここ最近、少しずつ感じている。いつまでもこんな我儘坊主ではいられないのだ。誰に何をされても、言われても、反応しないか、噛みつくか、くらいしかできない。好意を好意として受け取れない。これでは段々人に嫌われていくばかりだ。生きづらくなるばかり。ああ、この先輩にも(おしゃべりだけど)非はないしと思って、やっぱりもっと大人な対応をせねば、と思った。そして、今日返信した。「葬儀には行かないけど、おじさんの写真を見て過ごそうと思います」と書いた。夫のことは何も書かず。

夫のことをもう書いてしまいたい、書いたら詮索されるよりずっと楽だ、とも思った。でも書いたらこの先輩から全員に知れ渡ってしまうと迷った末、書かなかった。それに、この先輩に色々伝えたくない理由は、もう一つある。夫はこの先輩(男性)とも面識があるのだけど、あまり性格が合わなかったように思う。夫が読んでいたら怒るかもしれないが(読んでないよ)、ちょっとしたヤキモチだったと思う。先輩も、夫はあまり気に食わなかったと思う。

だから、夫が生きていれば、別に先輩には何も言わなくて良いんじゃない?と言いそうだなと思った。たまに夫がそういうよくわからないブレーキをかけてきたとき、私はめんどくさ!と思って自己判断でアクセルを踏み込んでいたのだけど。

でも今日は、夫の意見を尊重しようと思った。夫の遺影に「どうしてほしいんじゃー!!」と言ってから、もちろん返事なんてないので、ウーン、ウーンと考えた。私なりの夫への誠意の見せ方としては、この先輩に何も伝えないことだ!と思った。なんでもすぐに言いたくなる私が、夫のために我慢した。

先輩には「いい人から亡くなってしまいますね」と書いた。夫が死んだことなんて想像もついていない先輩は、「本当に」と返信をくれた。きっとこのやりとりを見て、夫は天国で邪悪な笑みを浮かべたのではなかろうか。デビル夫くんの一面である。

はー。夫には、今晩夢で褒めてほしいもんだな。

自分中心のうぬぼれ女の私も、先輩には言わずに我慢しましたよー!!

夫には満足気な表情でキャハハと笑ってもらってから、私を抱き寄せて、頭をわしゃわしゃと撫でてほしいな、と思った。