優しくて可愛くてかっこよくて大好きな夫と死別しました

事故か自死か。夫が消えた人生をこれから歩みます。なんて自分が書いてることが信じられない35歳です

昭和ドラマの蛮行

そろそろ仕事が回らなくなってきた。

どうでも良いって思う仕事は、こんなに苦痛なんだな。別に給料減ったり評価下がったりは全然良いんだけど、この状態をよく思っていない人が増えてくると、私個人が冷ややかな目で見られたり、責められるようになるから、そうなる前に休職した方がいいのかな。どうでも良い事務作業なら多少やるんだけど、長い文章とか報告書とかプレゼンとか、そういう創意工夫はパワーが湧かない。でも似たような経験しても、食いしばって普段通りに働く人もいるんだろうな。すごいなあ。みんな、脱力しちゃおうよと思うけど。私は職場への恨みがあるから、余計限られた脳機能を今仕事に割きたくないと思っちゃう。

夫が初めて体調を崩した最初の一週間、私は極限まで仕事のストレスがきていて、毎晩帰宅が午前1時を過ぎていた。そんな中で夫は苦しみの最中にあって、帰宅すると私に泣きながらしがみついた。私は、過去1ヶ月間、私がこんなに必死に締め切りに向けて働いているのに、足を引っ張るのかと怒鳴って、しがみついた夫を振り払った。あんなにお互いがどうしようもなかったこと、あの前にも、後にも、ない。人に対して怒鳴ったことなんて、もちろんない。お互い、鬼気迫ってた。普通の精神状態じゃなかった。仕事のストレスがなかったら、少なくとも私はもっと優しくなれたと思う。夫は最後まで、あの時のことを振り返って、嘆いていた。私が耳を貸さなかったと。

苦しんだり、混乱する家族が助けを求めたときに振り払うなんて、昭和ドラマの父親がやるようなことを、自分がやったことが信じられない。昭和ドラマの蛮行は、父親の意識の問題だと思っていた。でも、私自身が同じことをした。元の人格とは、変わっている。それは、私が社会的にそういう人物になってしまったということなんだと思う。昭和の父親もそうだったのかもしれない。こんな人間になるために、社会で働いているのだろうか。

残業なんて、私だってこれまで死ぬほどしてきた。理不尽な思いだってしてきた。けど、トラブル事案を次々と一人で背負わされたことは、これまでの経験からかけ離れていた。あれは、私を潰したと思う。潰れた私は、夫の心の叫びすら蹴散らしてしまった。今すぐあの時に戻って、夫を抱きしめたい。夫の苦しみに応えられなかったことを、本当に悔やんでいる。