優しくて可愛くてかっこよくて大好きな夫と死別しました

事故か自死か。夫が消えた人生をこれから歩みます。なんて自分が書いてることが信じられない35歳です

フィクション(未来を知らない妻編)

「私がいなくなった時の夫?それは、残酷な質問ですね。逆なら想像できますけど。

死に方にもよりますけど、夫はとんでもない悲しみに覆われるでしょうね。きっと、悲しみに圧倒されちゃって、文字通りどう生きていいか、わからなくなっちゃうと思います。まあ、今でこそ夫も一丁前の大人って感じで生きてますけど、「みんみん命」みたいな時期もありましたからね。ものすごく大切にしてもらってますよ。そこはお互い様ですけど。

そこですね、一番心配なのは。苦しすぎて生きられないって決め込んじゃいそうで。いつまでもくよくよしてると、いつまでやってるんだって周りからも言われちゃうと思うんですけど、夫の場合、やっぱりそこの感性が違うんでね。感傷的な世界が、彼のレンズではデフォルトだと思うんです。その中で私の存在って、サンサンの太陽ですね。自分で言ってて、恥ずかしいですけど。だから、私が消えた後の彼の世界を明るくするには、また太陽を呼び込むしかないかな。

夫が後追い?うーん、それはどうかな。あんまりないと思います。だからといって生活能力もないからなあ。でもね、夫みたいな人のことを好きになってくれる女性、絶対現れると思うんです。これまでは、私が14年間、半ば独り占めしていたでしょう?でも、世の中には面倒見がよくて、甲斐甲斐しい女性、たくさんいるんですよ。条件は、そうですね。明るくて、楽しくて、知的で、純真さを持ってることかな。私は、実は夫は惚れっぽいんじゃないかと思ってます。だから、もし私が死ぬ前に準備する時間があるなら、夫の名前で婚活アプリでも登録しておくと思います。それで、どんどん会ってもらう。そうじゃないと、夫のことが心配で、私も死ぬに死ねないですよ。

それくらい、夫みたいに素敵な人には、私がいなくなった後も、世のため人のため、ずーっと長生きしてほしいです。世界が夫みたいな人で溢れたらいいのにって、私、真剣に思ってますから。」