優しくて可愛くてかっこよくて大好きな夫と死別しました

事故か自死か。夫が消えた人生をこれから歩みます。なんて自分が書いてることが信じられない35歳です

記念日

起きないといけない。

起きたら、また夫がいない今日という日が始まってしまう。

起きたら、するするとアパート整理をしに行って、退去が完了してしまう。

起きてもちっとも良いことなんてない。

一日、一日を過ごしても、いいことなんて一つもない。身の回りすべてのことが、意味がない日々の中での出来事に過ぎない。食べ物が美味しいとか、誰かが言ったことが面白いとか、否定はしないけど、私に関係がない。今一番心が安らぐのは、こうして気持ちや考えを文字に落とすときと、夫からもらった手紙を読み返すとき。

写真を見るのもよいけど、存在がリアルに掘り起こされすぎて、怖くなる時がある。何も感じなくなったり、体調が悪くなることがある。たくさんの時間と経験を一緒に重ねて、2人だけの思い出が死ぬほどたくさんある。写真を見ていると、あの時こうだったね、とか、あれはどうだったっけ?とか、言いたくなる。もうそんな風に思い出を誰とも共有できないんだなと思うと、とてつもなく悲しい。

毎月15日は、2人の交際記念日だった。毎月15日は、「記念日だね」と一言交わした。だから何というわけじゃないけど、どちらが先に言えるか、競争みたいな感じもあった。うっかりして昼まで忘れてて、相手に先を越して言われると、もう1人もバツが悪そうに「ああ、そうだね、記念日だ」って少し大人びた感じで返した。まさか自分は忘れてませんでしたよ、この後言うつもりでいましたけど、とでも言う表情で。

もう、夫から記念日だね、なんて言ってもらうことはない。私が言っても、返ってくる答えはない。今日は記念日なのに。