優しくて可愛くてかっこよくて大好きな夫と死別しました

事故か自死か。夫が消えた人生をこれから歩みます。なんて自分が書いてることが信じられない35歳です

パワハラはんたーい!

夫のいない2021年に入ってすぐ、私は会社のトップの方に社内のパワハラについて伝えた。

握り潰されることが嫌で、最終的に誰の耳に届けたいかを考えて、最短距離でトップに直接言うのが良いだろうと思い立ち、メールの「送信」を押した。あまり長いメールではなく、ただ私が職場で辛い思いをしたこと、周囲でもそういう人がいたこと、会社は何の手立ても打っていないことを書いた。トップの方からは、すぐに調べると返信をいただいた。私が信頼するのは、やっぱりこういう人だ、さすが一流だな、と思った。

その後、人事部のえらい方々や、私の所属する部署のえらい方々などとパワハラの経緯について確認した。すぐ今後の対策を考えたいとのことで、人事部と一緒に対策案を作成した。私が声を挙げた勇気を称えてくれながら、これでトップに詳細を報告してくる、と言われたのが2月頃だったろうか。

そこからが長かった。私は、対策案がまとまったら、トップによるパワハラ根絶の声明を社内で発表することと、各種対策を目に見える形で実行していくことを会社に求めていた。しかし、待てど暮らせど、何も音沙汰がなくなり、半年近くが経った。私はこれは放置されたのだなと悟り、えらい方の一人にトップに会いに行きたいと相談した。すると、トップからは来ないでくれとのことであった。えらい方は、そのトップの声を私に伝えながら、「みんみんさん、どうしたい〜?」とまるで他人事のように話された。この人たち一人一人が管理職であり、本来社内でパワハラが生じた場合は監督責任を問われる主体であるはずである。それなのに、私の経験について「私はどっちの立場でもないんで〜」という責任放棄をされ続けていた。どの方も、私と話すときには「あんま関心ねぇなあ」という顔をしていた。「情緒不安定な女はめんどくせぇなあ」と思っていそうだなとも思った。

責任を持っているのに「どちらの立場でもない」と中立に立つことは、無関心という罪であり、責任の放棄というものだ。このえらい方の他人事の口調に、私の気持ちは大爆発した。人事部の面々を思い浮かべて、全員「やってやってる」の感覚で、誰のことも救う使命感なんて持っていない。ちょうどその時も、社内で苦しみ、放置された人の悲しい結果を耳にした頃だった。すべてが悔しくて、悔しくて、気づけば私はえらい方々全員を宛名に入れて、彼らがどれほどの時間をかけて、いかにふざけた対応を私に対してしているか、つらつらと書きまくった。

茶番とは、内容がないものであって、そこに理由や信念なんてないから、全員ccで実態を暴かれた人たちは、また慌てて対応を再開することとなった。

そして、先日、私のトップへの相談から10ヶ月もの時間を経て、トップの方の声明文が社内で発表された。僭越ながら声明文は私も校閲させていただき、トップ含む全員がこれまでの対応に頭を下げる内容としてもらった。今後は、その声明文を受けて、各種対策が実行に移されるはずだ。ただ、それも「はず」なのであって、彼らのことを私はいまだに誠実だとは思っていないし、結局何人死んでも良いと思って、対策の実行も遅々として進まないのだろうなと予測している。

私としては、会社に対する個人的怨恨を一つ晴らすことができた。でも、まったく気持ちは晴れないし、感慨深くもなかったし、夫くんに報告しようとも思わなかった。そして私のこういう何事も追いかけ続けて完遂する性格や、正論をぶちかまして相手を論破する性格が、きっとどこかで夫を苦しめたのだと自覚しているので、昔は好きだった自分のこの勢いも、今や人生に最大の不幸を招いたと感じている。夫だって、いつも「ゴーゴー!」って感じで応援してくれていたのに、どこでどうやって矛先が彼に向いたのだろう?矛先は彼に果たして向いたのだろうか?向けた。向けた時はあった。向けたんだな、やはり。そして向けたことで物事は悪化していった。

でも、今回のことについては、間違った主張であれば、やはり対応はされなかったと思うし、私のように苦しむ人がどんどん減ると良いなと思う。私の苦しみは、もう増えも減りもしないけどね。