現世とあの世の嫉妬心

よく、恋人や配偶者が亡くなった後に、亡くなった相手が天から「いい人みつけてね」と思ってくれてるはず、と聞く。そう思い合えるカップルは確かに多いと思う。残された方としても、できればそう思ってほしいと思う。でも、私の夫の場合、そんな気持ちになってくれてるのだろうかと思ってしまう。

私が死んだ方だったら、思う、かな。そりゃ、ヤキモチ妬くし、きっと近況なんて聞きたくないし、新しい恋人の方が好きかもなんて思われた日には、今と同じくらい苦しむと思う。でも、夫の心の中には、きっと私専用の特別な小部屋があると信じようとするかな。それより、夫は生命力があんまりないから、誰かおせっかいで世話焼きなチャキチャキした女性に可愛がってもらった方がいいと思うと思う。夫がいつまでも暗い部屋で1人悲しんで苦しんで私の遺影に語りかけてたら、嬉しい反面、数年経ったところで、「重いよっ！！！！」と突っ込んでしまうかもしれない。

では、夫はどうだろう？私は自分の夫への愛情の大きさに自信がある。でも、夫の私への愛情も、相当に大きい。加えて、夫の嫉妬心は、私より大きかったかもしれない。普段から私の言動を見張るような性格では全くないんだけど、一度だけ私がハメ外しすぎたときに、尋常じゃないくらい怒られた。嫉妬というよりも、汚らわしい男女の関係に喜んで参加した、と嫌悪感を持たれた。まったく恋愛感情のない男女グループで、終電を逃して雑魚寝した、という夜だったから、私はなーんにも問題に思ってなかった。翌朝その場から夫くんに電話で報告したんだけど、夫くんは絶句して電話を切ったんだった。あの意識の差よ・・・。でもそれで私も大いに学んで、こんなに夫を苦しめることは今後絶対しないと誓った。確かに、夫は男女で遊ぶグループなんてなかったし、同僚の女の子と飲みに行くなんてこともなかった。私自身、嫉妬心が低いんじゃなくて、妬くような機会がなかっただけなのかも。

そんな夫だったけど、2年前に体調を崩したとき色々過去を吐露されて、「交際5年目に、少しいいなと思う人がバイト先にいた」と勝手に白状されたことがあったな。一方的にそんなこと言われて、でも夫は体調崩してるし、「そんなのぜーんぜん気にしないよ！！！」って私は明るく振る舞った。本当は、ちょっと気になったけど。その頃、私にどんな表情で会ってたのかなって。でも、どうせちょっとしたら私の良さを再認識したんでしょ、と思った。要は、自分の自信なのかな。私は、自分以上に夫のタイプの人はこの世にいないという自信があったんだと思う。

そう、だから夫が今の私の悲しみを見て、どう感じるか。率直に言ってしまえば、私が哀しむほどに、夫は喜んでるんじゃないかな（笑）自分がこんなに愛されていた、大切に思われていたって思って、ほっぺを薔薇色にしてにやけて喜んでいるかもしれない。同時に、私の心の痛みや悲しみをとてもよく理解してくれるから、勇気づけてあげたいって思ってるだろうし、いつかみんみんが新しい一歩を踏み出せるように応援したい、そのために自分も考え方変えていかなきゃな〜ってどっかで思ってくれるだろうな。

少し先のことを考えすぎて、気分が悪くなってきた・・・。まだこういう話は、私にも早いみたいだ。しばらくはまだペアでいようぜ、夫くん。