私は貝になる
今日も、しばらく連絡していない職場の先輩からメールが来てしまった。
自分の中で少しだけ強くなれたかと思うと、こういう自分ではコントロールできない、外からの接触があって、すごくかき乱されてしまう。
「元気ですか?」という言葉とともに、きっと私が元気でないだろうと予想がついていそうな文面。幸せなはずなのに、寂しくやってますという、明らかに、不自然な文面。明らかに、幸せオーラを消そうとしている。そして、明らかに、こちらの状況に探りを入れている。
夫が闘病している頃は、私もなんだかんだこういうメールにオープンに返信できたのだけど、今は、まったく返信したくない。今日メールをくれた先輩は、前に私に連絡をくれた別の先輩に夫の闘病のことを勝手に伝えてしまったこともあり、またここでやりとりしたら、話が広まることはわかっている。なので、もう何も伝えられなくなってしまった。
本当は、善意でしかないことはわかっている。でも、こういう話って、どうしても、興味深いと思うんだ。話が話だけに、絶対に誰かに「実はね」と話したくなってしまうと思うんだ。私だって、そう。誰かに聞いたら、話したくなってしまう。人間って、そういうもんなんだと思う。
元々この先輩たちには、こういうときに連絡をもらって全く不思議じゃないほど、とても、とても、よくしてもらった。夫だって会ったことがある。2人でお宅に伺ったこともある。結婚を盛大にお祝いしてもらったこともある。あんな心のこもったサプライズ、先輩たちしかしてくれないのに。
でも、もう私はその関係性には、戻れないんだと思う。
話すとしても、あまりに悲しい。
あまりに惨め。
相手がどうというより、自分が耐えられない。
絶叫したくらい、惨め。
この惨めさは、なんなんだ。
メールを受け取って、読んでから、先輩の「元気ですか」という問いへの答えを自分の脳内で一巡して、答えが出る前に、涙がぶわっと流れた。
元気なわけ、なーーーーいーーーーーだーーーーろーーーーーー!!
そう、元気じゃなくて、今すぐ消えて無くなってしまいたい。でも、そんなこと書けない。書ける内容を書くには、自分が無理してしまう。自分が無理するくらいなら、返信しない方がいい。
先輩たちは、皆優秀で、素晴らしい配偶者とともに、共働きで、可愛い子供を育てている。
そんな人に、私の気持ちは、ひっくり返って逆立ちしても、伝わらないと思うから。
不幸なすれ違いをしてしまうくらいなら、私は貝になろうと思う。
はまぐりのみんみんは、今日はもう貝を閉じました〜。
許してね。