踏み出せば地雷がある
職場にインターンが来ている。
その着任の自己紹介プレゼンがあるということで、こういう集まりから存在を消していたけど、今日は私も出ることにした。
発表を聞きながら、昔の自分にどこまでも重ねてしまった。
出身大学にしても、学生時代の活動にしても、同じ仕事に関心を持っているだけあって、学生時代の私と、たくさん共通点がある。関心のある社会問題だって、やったことのあるボランティア活動だって、同じ。同じNPOに行って、同じようなグッズ販売のイベントを大学で開いていた。発表プレゼンの中で、そのNPOが販売している手作りのカードが映った。あのカードを、私も大学のイベントで販売した。イベントに顔を出してくれた夫が、そのカードを買って、買ったカードに優しいメッセージを書いて、クリスマスに、私にくれた。
夫は、私のこういう活動には関心なんてなかったけど、頑張っていることをいつも応援してくれたな。いつも見知らぬ人のふりをしてイベントにふらふらやってきて、浮いた出立でイベント会場を一周して、全然買わなさそうなのにグッズをちまちま選んで買って、会場の離れた場所にいる私にちょっとひょうきんな目配せをしてから、ひょこひょこと去っていった。すごーく、変なひと。追いかけて捕まえてきゃはははと笑いたいくらい、私はあの夫の姿が好き。夫が大切に残していたノートの中に、そのイベントで買ってくれたしおりが挟まれていて、遺品整理でそれを見た時も、ぎゅっと胸が痛くなった。胸が、痛い、痛い、痛い。
生活の中に地雷が多過ぎて、参ってしまう。
ちょっと踏み出そうと思って外に出ていくと、どうしてもこういう目に遭う。
こういうものを見聞きしても、心が揺れない人っているのかな。
それともみんな、食いしばって平静を装うのかな。
死別の後には、あるよね、こういうこと。
誰も悪くないし、自分だってそれがどうしたと思えればいいけど、全然、全然、まだ思えない。
困ったなあ。食いしばるか、外に出て行かないかしかなくて、食いしばれない私は、自分に甘過ぎなんだろうなあ。命がかかっていれば、確かに食いしばれるもんなあ。
でも、命かかってないからな。もう誰の命も、かかってない。