優しくて可愛くてかっこよくて大好きな夫と死別しました

事故か自死か。夫が消えた人生をこれから歩みます。なんて自分が書いてることが信じられない35歳です

ただいまの念押し

今日は朝ごはんの後で、おばあちゃんの補聴器修理のために両親とおばあちゃんが3人で外出すると言う。

朝ごはんを5分くらいで食べ終えた私は、無表情でソファに直行して寝っ転がった。一度転がったら起きる理由がなくなりそうだなと思いながら。

補聴器屋に行く身支度を整えたおばあちゃんがソファの私を見るなり近くに来て、「でっかい牛が寝てるみたい」と言ってきた。私は無言で頷いて、流す。「あんた丑年だっけ?」と更問いを受けたので、またブンブン頷くと、納得して離れていった。

朝ごはんをゆっくり食べていた母は、補聴器屋の予約時間に間に合わないと慌てはじめた。「朝ごはんの食器片付けるの、私やるから置いておいて」と伝えると、少し気持ちが楽になったよう。

よかったよかった。

3人を送り出して、というよりただ3人が出て行く通路沿のソファに寝て、出発するのを見送った。

それから、ソファに寝たまま、ネット上の死別ブログを読ませてもらったり、夫のこと考えて大声で名前呼んでみたり、写真見て泣いたりした。ソファで横向きになったり、仰向けになったり、なんなら鼻をかむために起きあがったりもした。自分で書いたブログの文章を読み直したら、気づいたら寝てた。自分にだいぶ失礼。

昼寝から目覚めてから、ああ、ポテチ食べたいな、買いに行くの面倒だな、でも食べたいな、なんて考えていたら、母親からメッセージが入った。「帰ってきたよ」。確かに、ガレージの音がしている。彼らが出発してから二時間以上が経っていた。

今起きあがって食器を片付けはじめても、間に合わない。母親が来たら、謝らないと。でも、謝る気力もない。逃げちゃいたい。そう思って、腕で顔を隠して丸まった。

「ただいま〜」と言いながら3人が家に入ってくる。私は腕の中から「オカエリ」と返す。

足音が近づいてくる。このひるまずズンズンくる足音はおばあちゃんだ。私が頭を隠してるのもなんのその、「タダイマ!」と念押ししてくる。「あんたァ、子猫が寝てるみたいだねぇ」と言う。

朝の牛呼ばわりとだいぶ違うな。私自身は朝より人としてはダメ感高まってるんだけど。腕から顔を出しておばあちゃんの顔を見るととてもニコニコしてる。補聴器の調子が良くなって嬉しいらしい。

おばあちゃんは私に顔を近づけて、「あんこがこーんなに詰まった大福を、みんみんのために、デパートで買ってきたからねぇ」と言ってくる。両手で見せたサイズは肉まんぐらいになってる。私は特にあんこ好きで知られてないから、その大福は私よりおばあちゃんのためなんじゃと思った。そんなことはどうでも良くて、とりあえずこういう停滞期におばあちゃんの破壊力は結構いいなと思った。