優しくて可愛くてかっこよくて大好きな夫と死別しました

事故か自死か。夫が消えた人生をこれから歩みます。なんて自分が書いてることが信じられない35歳です

ずっと待つんだったのに

いつもより穏やかな気分で1日が始まったのに、ふとしたことでスイッチが入る。

穏やかになんて、なるわけないのにね。

夫が亡くなったときの音、聞いてないのに、耳に刺さってくる。夫くんが息絶えた姿が、今日はハッキリと浮かんでくる。あんなに一瞬、あんなにあっけなく、人は亡くなってしまうんだ。それまで33年もの間、労り大切にしてきた体が、生命を失ってしまうんだ。死んだら、終わり。全部止まっちゃう。何も解決していないのに。

夫くんは私に怒りとか恨みとか持たせる余地もないまま、全部抱え込んで亡くなってしまったから、私の中で夫くんを好きな気持ちがビクともしなくて、何にも制限されなくて、ただ悲しい。だから、言えることなんて、「夫はずるい」くらい。ずるいって言葉だって、愛情を目一杯込めて言ってしまう。嫌いになれたらいいのに。私が開き直るための足場が何にもないよ。悲しいのに、このあと一人で、雑草みたいに立ち上がるしかないんでしょ?そんなことも、したくもないのに、この打ちひしがれたままでいることは、苦しすぎる。私、苦しみへの耐性がないから。これまでは耐えずに周りを変えてきたから。今回は、どうしたらいいんだ?でも、夫の苦しみを考えると、なんとかそれを分かち合いたくて、もっともっと自分が苦しんで、夫の境地に達したいとも思う。どこかで真面目な自分と、要領の良い自分が、戦っている。エゴが仲違いしてる。

朝ご飯を食べながら、パンとコーヒーを食べながら、「夫くんは、私とこういう時間をまた過ごしたいとか、思ってくれなかったのかなあ」と浮かんだ。その次の瞬間、「いや、もっと過ごしたかったと思いながら、死んでいったのかなあ」と思った。そんなことを思いながら死ぬなんて、悲しすぎる。でも、夫ならきっと、何度でも思ってくれたはずだ。「みんみんと、こういう時間を、もっともっと、ずっと、いつまでも、過ごしたかった」と。きっと崩れそうな泣き顔浮かべて、そう悲しんだはずだ。そんな願いを凌駕してしまうような苦しみだなんて。夫と私の関係を超えた苦しみだなんて。もうそれが叶わないと思ったんだろうな。いくらでも叶ったのに。私はずっとずっと待つんだったのに。その気持ちだけは、地球が吹っ飛んで宇宙に放り出されても揺らがないものだったのに。

夫くんは私の真価をわかってくれなかったのかな。私、夫くんのこと大好きだったんだから。まだまだ、元気になるまで、あと10年はかかるな、なんて思って、腹括ってたんだから。腹括った私が、この世で一番しぶといって、なんでわかってくれなかったの?