優しくて可愛くてかっこよくて大好きな夫と死別しました

事故か自死か。夫が消えた人生をこれから歩みます。なんて自分が書いてることが信じられない35歳です

幻の新居

夫が亡くなって以来、最長の夜更かしかもしれない。

アパートも残すは主にクリーニングとなって、なんとなく今週やらなくてもいいか、なんて思ってるが故の夜更かしかな。まだクリーニングの業者を探して、予約しないとなんだけどね。こういう手続き、面倒くさがりだからとても苦手。

夫と暮らしてた時も、複雑な手配は私、面倒な手続きは夫みたいな役割分担だった。面倒ってすなわち、水道電気ガス関連は夫。でも、それをカード支払いに切り替えるみたいな手続きは私。何かトラブルシューティング系も私。夫の方が一人暮らし歴が長くて、そういう手続きに詳しかったんだよね。今回引越しするけど、夫の力は借りられないから、私一人で色々しないとだなあ。

死別の方々のブログとか見てても、死別前から引越し予定があったのは、結構レアなんだろうなと思う。なんせ、遺品整理を速攻やらないといけないからね。でも、遺品整理はいつやるにしてもつらい。ただ時期によって、基準が少し変わったりする。私でさえ、不思議なもので、ゴミ袋につめて実家に持って帰ってきたものを、実家にきてからまた開けて、中身を取り出したりした。夫が着まくって穴の開いたセーターとか、13年前にあげたマフラーとか、やっぱ大切すぎてゴミ袋から取り出した。その後、何度も着てる。着るたび、あったかくて、ふわふわしてて、夫ラブって思ってる。マフラーも、夫が19歳のときにあげたものだから相当安物だけど、それっぽく巻く。内心嬉々として巻く。

明日は引っ越しに関連した手続きとか期日とかを調べないと。引越しってエネルギーかかるから、唯一のモチベーションは新居に住むことなはずなのに、私は実家に戻ってくるだけだもんなあ。

実は夫が亡くなる半月ほど前に、夫が大好きな街で良い物件を見つけた。亡くなる数日前に入居申し込みも終えて、契約締結の直前だった。あの街で、あの部屋で、夫が一緒に住んでくれることをいつまでも待つつもりだったのに。今でもあの部屋を思い出すと、その先に描いてた夫との生活がまぶたの裏に浮かぶ。自分なりに、イメージ図を持ってたんだよね。

賃貸情報サイトで見たその物件の写真、夫もだいぶ良いって言ってくれた。一旦は入居者決定したけど、色々あってまた市場にでて、夫に相談してすぐ内見に行った。亡くなる一週間前、「みんみん、賃貸の件、どうなったかと思って」って電話くれて、私が申し込んだと伝えると、「予算より高くない?」って心配された。私は、「賃貸の好みも似てる2人だから、内見で中を見て、きっとあの部屋なら夫くんが気に入ってくれると直感的に思えたから、予算も含めて、いいかなと思って申し込んだの」って伝えたら、夫も安心した様子だった。夫も、きっといつか来てくれるつもりだったと思う。

だって、あの街は夫くんが好きだから選んだんだよ。夫くんが、将来どの街に住みたいか聞いたら、「仕事にもよるけど、XXかYYかなあ」って教えてくれたんだよね。今からたった3ヶ月前の会話だよ。ずっと仕事に就くことを考えていたんだよね。生きていくことを考えていてくれたんだよね。

物語が、唐突に終わっちゃって、まだ呆然としちゃうよ。

あの部屋に、夫くんと一緒に住みたかったなって、ときどきぼーっと考えてる。