夢に体だけ現れた
最近、夜中に目が覚めることが増えた。今朝も朝4時、夫との記憶が一瞬夢に出て、その瞬間に目が覚めた。
私が普段、夫が亡くなった、とか居なくなった、と言ってるとき、実感はこもってない。ただ隣の席が「無」の状態であるのに照らして、この空席は夫の席だったようだ、ということは夫は居ないのか、と後追いで主語を付け足しているような感覚。とても事務的で、感情を挟まない、単なる状態の説明だ。
一方、夫の存在から始まり、彼が見せてくれた表情や、彼が私に与えてくれた時間に思いを巡らせ、その終着点として、今その夫がいない、と考えるとき、襲ってくる悲しみや苦悩は、また別次元になる。
だから、同じように夫が亡くなった、と口にしても、その時々によって、心の中の嵐は全く違う。夢で夫を見てから、目覚めて再認識する夫の死は、やっぱり、とても苦しい。
今朝、夢に現れた一瞬は、私が夫の胸に愛撫するときに見た光景だった。全くエロティシズムもない夢の途中で、突然その光景がパッと浮かび、夫の美しい体を思い出した。夫の顔すら映らない、ただ私と夫の体。ずっとそういう感覚から離れていたし、それが恋しいという気持ちはそんなに強くない。でも、思い出せていなかったあの光景や、夫の体が自分の舌にあたる感覚が久しぶりに蘇って、また恋しくなった。
夫も私も、性欲はあまりなかった。いちゃつくのも、じゃれあうのも大好きだけど、性欲は大人びた感じがして、うぶな私たちは居心地が悪かったのかもしれない。他の何についてでも話すのに、性についてはあまり話さなかったな。
全然、それで良いのだけど。
性欲なんて、邪道だよね。