優しくて可愛くてかっこよくて大好きな夫と死別しました

事故か自死か。夫が消えた人生をこれから歩みます。なんて自分が書いてることが信じられない35歳です

自分がいつも主人公の私

もし夫と逆の立場だったら、夫はきっと毎晩定時で帰ってきてくれただろうな。そうやって、家庭を最優先して、職場の方で自分が困るようにしただろう。

私は職場でも活躍したくて、夫を遅くまで一人にさせてしまった。

夫があんなに苦しいのに、私は夫を優先しなかった。

まさか再発するようなことがあると、頭をよぎったことがなかった。アップダウンはあっても、往診の医師も何も言わないので、私が過度な心配をすることで、変な雰囲気になってしまうかと思った。当事者の家族に、医療者がよく言う。あなたはあなたのペースで、いつも通りにしていなさい、と。きっと、いろんな責任を背追い込むな、あなたはあなたの人生をという意味なんだろうけど、それは家族ではない人の言葉でしかない。私の人生は、夫と共にあったし、夫が苦しむのは、嫌だったはずなのに。

夫が私の立場だったら、きっと配置換えを会社にお願いしてでも、残業を少ないところに切り替えてくれたと思う。しかも、それに私が気付いて、猛抗議して「私のためにそんなことしないでよ!」って言って、それでも夫は自分が悪者になって、「でもこうしないと僕が心配になっちゃうからさ、みんみんと一緒に夕飯くらいは食べたいもん」って言ってくれたことだろう。

私だったら、夫に内緒で配置換えをしたとして、そのことで恩着せがましく思ってしまいそう。それで、夫から感謝の言葉がないとか、あなたのために体張ってるのに、とか口走ってしまいそう。

現実でも私は夫の妻失格だったし、こんな空想世界でも、どうしようもない奴。人を支えるということを、私は知らないんだろうなあ。主人公が、いつも自分だったんだろうなあ。あの状況で、夫を22時や23時まで一人にしていたのは、どう考えても最低すぎて、クズすぎる。

今の職場が嫌になる。逆恨みだけど、こんなに仕事しか眼中にない人の集まりじゃなければいいのに。花形の部署だから、こうなるんだけどね。全部全部、自分が願っていたこと。

夫の優しさばかりが膨大になって、自分ができたことが、ネズミの食べかすみたいに小さくなっていく。さっき泣いてたら、「夫くん、少しは救ってよぉ」って口走ってた。救われたいよ。夫くん、でも、本当に、本当にごめんね。反省してるよ。反省しかないよ。本当にごめん。自分の気持ちを、しっかり行動に移せてなかったよ。ごめん、ごめん、ごめん。