優しくて可愛くてかっこよくて大好きな夫と死別しました

事故か自死か。夫が消えた人生をこれから歩みます。なんて自分が書いてることが信じられない35歳です

メンタル強い人

私は思慮深そうな一面もあるけど、実態としてはあさーい。私はあーだこーだと考えることは好きだけど、自分にとって一番の痛点は無意識と言えど、避けて考えていると思う。

世間では、これをメンタル強いとか、精神が安定してるとか言うのだろう。別の言葉で言えば、ずるくて、自分可愛がりの人間だと思う。

そんな私に対して、夫はまた大きく異なる思考を持っていた。

夫のノートにある自己分析の記述は、どこか客観的に、自分という人間について冷めた目で見ているものだった。恐らく多くの「メンタル強い人」は、自己分析をするときに、まず大前提としての自己愛がある。自分という存在を肯定した上で、強みやら弱みやら特徴について痛くも痒くもない分析をする。夫のノートからは、そんな自己防衛の鎧は感じられない。その実直さが、私のような第三者から見ると、突き抜けた誠実さに見えたのかもしれない。

でも、そんな性格が夫自身を苦しめていたとしたら、ものすごく悲しい。私が好きな夫の性格が、夫自身を苦しめていたということ。夫の誠実さや優しさを、隣にいた私が目一杯享受して、身勝手に消費したような、そんな罪悪感が湧くこともある。

夫がありのままで、青年となり、社会で生きていくことを妻として支えられればよかった。支えたいと思っていたけど、なんら支えられないまま、夫は苦しみの果てに行ってしまった。

夫は、この大人の建前だらけの汚い世界に苦しめられて、未来に向かっていく希望を奪われてしまったのだと思う。大人にならずとも生きる道がもっと世の中にあっても良いのに。そういう世界を作りたいな。