優しくて可愛くてかっこよくて大好きな夫と死別しました

事故か自死か。夫が消えた人生をこれから歩みます。なんて自分が書いてることが信じられない35歳です

瓜二つの子に会いたかったんだ

夫と一緒に生きていくことに唯一苦悩があるとしたら、それは夫との結婚生活では、私が欲しかった子供を授かれないかもしれないということだった。

元々、私がちっちゃい子が大好きだから、夫も話を合わせてくれていたのか、何歳くらいで子供を授かりたいね、なんて2人で話していた。夫は、自分の親は自分の結婚や孫は望んでいなくて、息子である自分とまたいつか暮らしたいと思ってるから、どう話せばいいだろう、なんて悩んですらいた。でも、それから数年経って、夫の人生が想定したプランから外れていったとき、夫の中で子供の話が大きな負担と苦悩になっていった。私も、他の何であっても夫の意見にあわせる覚悟があったけど、子供の話となると、諦める境地には全然至っていなかった。

今となってみれば、私は子供どころか伴侶すらいない独り身の状況になってしまったので、夫という人が目の前にいることがいかに幸せなことだったかと感じる。その時も、子供より夫という選択しか自分にはないとわかっていたから、余計に嘆いていたんだけどね。卵子凍結を迷っていたけど、むしろそんなこと夫のプレッシャーになるかなと思ったりもした。でも、夫に伝えずにさっさとやっていれば、一旦私の中で問題を棚上げできたのにな。2人にあったタイムリミットなんて、それくらいだったのに。

夫が体調を崩す中でもわたしが子供を諦められなかった理由はなんだろう。「私、子供なんかよりあなたが大事だよ」って言ってあげられれば夫の苦悩は軽くなったのだろうか。夫が苦しかったのは、自分がとてもそんなことを考えられる状況になかっただけでなく、隣にいる私が子供を切望していたことだと思う。みんみんの気持ちを無視できないって。きっと、誰よりも私のことをよく見てくれていた夫は、私が夫から離れることはないってわかってくれていたと思うし、子供についてはいつか諦めさせる時がくると感じていただろう。悲しいな。優しいな。本当に夫は、優しいんだ。

子供が生まれたら、きっと夫みたいにとっても優しい子になるんだろうなっていつも思ってた。夫と瓜二つの子が生まれてくれたらなんて嬉しいだろうと思っていた。もう、夫も見られないし、夫そっくりの子供も見られない。みんなみんな、私を残していっちゃったよ。